蓮沼執太 | Shuta Hasunuma

1/5 2021

Date

2021.01.05

高塚謙太郎さんの詩集『量』を去年はよく目を通していた。「読む」というよりも「目を通す」という表現が一番しっくりくる。A4版で250ページほどあるので、読み進める、ということも出来るんだけれど、詩によって文字のレイアウトが異なり、詩を読んでいくプロセスが異なっていく。その分、人によって詩を読んでいく解釈が全く異なるかもしれない。そんな詩集である。僕はその中でも「Blue Hour」が好き。途中に「4分33秒」というフレーズが出てきてから、詩の時間軸が変容していく。また註釈なのかな?と思っていた註釈が主体性を持ち出して散文になっていき抽象化される。ん?どちらが「詩」なのか?わからなくなる。読者は2つのテキストを同時に読むことは出来ない。だから、どちらかのテキストは放置されていく。そんなふうにして、あっち行ったり、こっち行ったりすること、そういう読書体験は「読む」というよりも、「目を通す」という方が僕としては好きである。とても素晴らしい詩集で、リビングに置いてはすぐに手に取れる位置に置いていたもの。ボリュームたっぷりで。

https://note.com/shichigatsudo/n/n914280730104