蓮沼執太 | Shuta Hasunuma

タイトルを決めた

Date

2013.10.11

タイトルを決めた

本当に難産だったなぁ。こんなに考えたのは(悩んだのは)初めてだと思いますね。僕はよく一度作ってしまった作品とその作家(僕)との関係は、完成したら「切れた関係」になる、と思ってます。説明すると、毎日コツコツと作品に向かっていって、毎日触れて、毎日聴いて、毎日見つめていき、それが時間をかけて出来上がる。そして、出来上がると僕は「よし!お前もこれで一人前だな!もう僕のもとから離れて、世界へ羽ばたけ!!」という親心的なスタンスになってしまい、急に毎日時間を共にしてきた作品くんとは、もう僕と違う時間を生きてもらう、っていう気持ちになるんです。これは展示タイトルや共同作業のタイトル決めではなくて、主に音楽アルバムを作った時にそう感じていて、実はファーストアルバムを作ったときから、同じだったので、これはもう自分の性格なんでしょうね。過去に5回くらいあるんですけど、ずっとこの感じ。作り終えたら、僕の物では無くなるんですね。音楽アルバムのタイトルって、作品を作っている初期の時から、何となくモヤモヤとイメージしていって、気になった言葉などのフレーズを手帳にメモとかしちゃったりして、アーカイヴしていって、たまに読み直して、口で発音したりして、その作品とその名前を自分の中で関係をつけていってあげたりします。慣れさせてあげるんです、自分を。最初はどうしても違和感しか残らないんです。うーん、名前を付けるって、本当に難しい。

で、何のタイトルを考えていたかと言うと、蓮沼執太フィルのスタジオ録音アルバムの名前です。7月末にレコーディングを完成させて、この3ヶ月間ずっと、ずっと、考えていました。例えば、僕の過去作は全て造語でした。『OK Bamboo』『POP OOGA』『wannapunch!』『CC OO』と。読み方もよく間違えられるけど、造語というのは、この世にひとつしか無いネーミングなので、僕はとても気に入っています。『ポップ・オーガ』っていうのは、意味はあるんだけど、言葉の響きがすごい好きでした。『シーシーウー』っていうのも、4枚組のCDを並べて記号的に「○(丸)」が4つで「C・C・O・O」ってイメージしていって、こちらも言葉の響きが気に入って採用!になりました。これなら作品の方も「オリジナルな名前を頂けて嬉しいです!」って思ってくれているに違いないです。でも、今回は蓮沼執太フィルなんです。フィルって僕のソロでは無いけど、集団リーダーとしては、自分が名前を決めないといけません。フィルの歴史や成り立ちやメンバーの顔や人柄とか。このアルバムがリリースされて、どういうリスナーに届いて、どういう時間でみなさんに聴かれるとか。CDとかレコードとかPC上とかコンサートとか、今僕らが想像している以上の環境下で、記録された音楽が再生されることもあるかもしれないとか。もしかしたら過去に届く音楽もあるかもしれないとか。本当にいろんな事柄を可能性を捨てずに考えていって、それを何とか、何とかして、言葉に落とし込む、っていうことをずーっと考えてきたんです。長かった。それを昨日の朝、決断しまして、メンバーとスタッフに送りました!メンバーに伝える事が出来て良かった。

さて、この作品がいつリリースされるなど、全然公表されておりません。が、そろそろたくさんの情報が一気に流れてくると思います。フィルの諸々を丹精を込め続けてました。コツコツと。

夏と秋はアルバム制作で眠っていた我々のフィルですが、11月くらいから来年も怒濤のアクティヴィティが見れるはずです。今から僕も心身を鍛えてます。眠っていた分、暴れてやる!っていう気持ちも持ちつつ、フィルの瞬間瞬間を楽しめるように、じっくりとゆっくりとマイペースで歩きたいですよね。みなさんもよろしくお願いします!絶対について来れるスピードなので。

あ、名前のことって言うと、先日タブラ奏者のユザーンとラッパーの環ROYと仙台へ行ってきました。その時にドカッと休憩時間が出来て、目の前にいるユザーンのWEBサイトでQ&Aコーナーがあって、そこに投稿したら、ものの数分で答えをくれました。この鮮やかな解答劇には驚きました。即レスっていうやつですね。作家みたいなスピードだったなぁ。すごいな、ユザーンは。ありがとうーユザーン。

http://u-zhaan.com/q_and_a/